音が。

音が気になる。


車が行ったり来たり。
父親が何かしていた。
誰かの話し声。祖父がむせる声。
遠くでテレビの音が聞こえる。
道を歩く誰かの足音まで、聞こえている気がする。
聞きたくなくてベッドにこもる。
自分の心音も。呼吸も。何か食べる音。唾を飲み込む音。気になりだす。
遮断したくてMDを聞いても、曲と曲の間からまた外界の音が。
それが現実か幻聴かじゃなくて。そんなんはどうでも良い。
とにかく常に何かが聞こえる。気になってしょうがない。
みんな音楽みたいにあのひとの声みたいにきれいな音だったら良かったのに。
どうしてそんなうるさいの。
あたしの心臓が止まれば全部聞こえなくなるのに。



そういえば、世にも奇妙な物語で前そんな話があったような無かったような。
どうでもいいか。
眠ればとりあえず聞かなくて済む。
寝たい。
まだ寝れない。
夕飯作らなきゃ。風呂にも入って。洗濯。もの。
全部に音がついてくる。


もういやだ。
鼓膜なんかいらない。なんも聞きたくない。
頭に入ってる音楽だけでもういい。